日本で唯一軒の温泉宿 - 温泉Number、山の温泉ガイド

※秘湯の宿をテーマ別にピックアップ。(敬称略)
湯屋温泉 奥田屋、自家栽培 三たての手打ち蕎麦 
岐阜県飛騨小坂、御嶽山西麓の大洞川ほとりで、遡ること室町時代にご先祖様が薬効豊かな炭酸泉を発見し、代々受け継いでいる温泉宿。手作りで素材にこだわるご主人のお料理はぜひご賞味いただきたく思います。そんななかでも、蕎麦は自前の畑で栽培し、しかも挽きたて、打ちたて、茹でたての三たてのお蕎麦です。温泉宿で自家栽培三たては他にあるでしょうか?以前ずうずうしくも、かえしの作り方をご主人にうかがい、快く教えていただきました、大変ありがとうございました。


2010/5/19 写真2004年12月9日撮影

秋神温泉、氷点下の森(R)と巻上チェーン付きドラム缶風呂 
現在開催中の氷点下の森、そこにドラム缶風呂があるとは知らず、たまたま訪れたのが一昨年2008年1月30日の夕暮れ時、ご家族で氷祭りの準備に追われている時期でした。今でこそ各地で行われている氷祭りですが、そもそものルーツは秋神温泉ご主人が40年近く前に始められた氷点下の森と聞いています。そのライトアップされた氷点下の森を、滑車に吊るされたドラム缶五右衛門風呂から高見し、下からは燻され、滑車で上下しセルフで温度調整すると言う、貴重な経験をさせて頂きました。ただしドラム缶に火が入ると言うのは宿の方の趣味、滅多に無い事のようです。氷点下の森は3月末頃までやっています。

 秋神温泉旅館
2010/2/23 写真2008年1月30日撮影

奥津温泉 東和楼、ボーリングホールから噴出する湯 
東和楼
岡山のある宿で教わり、最初に訪問したのが2002年5月、旅館の頁にも書きましたが、ほんとアニメの原油掘り当てシーンを思い出してしまう拍手な温泉なのです。岩盤を掘った穴(湯船)、その底のボーリングホールから配管なしで噴出する湯、当然排水溝はありません、を持つ唯一軒の温泉宿。源泉足元湧出の湯とはボーリングという点で分けて考えています。また底から沸いていても大抵配管されています。この条件である2軒の宿が気になりましたが、1軒は配管でした、またもう一軒は湯船が高い位置にあり確か配管が一部されていたはず、また岩盤を掘った湯船ではないので、別物として東和楼さんの湯船を掲載しました。底のボーリングホールから噴出する湯船は野湯や共同浴場では僅かながらもあります。

 奥津温泉
2009/1/10 rewrite:2009/4/17 18:14:55 写真2008年12月1日撮影

凍てつく石楠花の湯
本沢温泉、凍てつく石楠花の湯 
地図を見てもちょうど標高2100mの等高線上に、本沢温泉石楠花の湯はあります。極寒の地で湯温を保つ為、源泉の脇に建てられた、冬季専用の湯小屋が石楠花の湯です。2001年1月の訪問では、湯面の薄氷のような析出を割り入り、その熱めの湯にしびれました。
積雪期、麓から歩くと4時間、ゲートまで雪上車送迎もありますが、ゲートからは徒歩、60~90分。標高2100m以上で冬季も営業している唯一軒の温泉宿。日本最高所野天風呂「雲上の湯」は宿から徒歩15分、更に50m上手になります。

 本沢温泉
2009/1/10 写真2001年1月16日撮影

唐沢鉱泉 冷泉打たせ湯
乗鞍大雪渓下から乗鞍登山、大雪渓滑降の後、板を担いで下山の途中、冷泉小屋へ寄り、集団登山の人目を避け道下で、夏でも7℃という冷泉に打たれました。登山で火照った体には気持ちよいぐらいで、それほど冷たく感じませんでした。
乗鞍では計ってはいませんが、一応7℃を経験したわけですが、八ヶ岳唐沢鉱泉の冷泉10℃は、最初痛くさえ感じ、沸かし湯と交代で入ると次第に慣れるとは言え、修行ともいえる冷たさです。宿の方は心臓麻痺を起こすといけないからと決して勧めませんが、腰までの湯だまりに浸かり冷泉に打たれると湯上りに驚くほど体がぽかぽかするのを感じます、特に腰から下が。これほど冷たい冷泉打たせ湯があるのは唯一軒と思われます。また今年地方紙でも紹介されましたが、年に一回梅雨入りの頃源泉が牛乳のように白濁するという、これまた他では聞かず唯一軒?
牛乳風呂

 唐沢鉱泉
2008/9/2 写真2008年7月4日撮影

国の有形文化財クラスの趣、つばたや旅館 家族風呂
渋温泉 つばたや旅館 
先代にお茶と羊羹を頂きながら、何度もお話を伺いました。ご主人が旅館業を引き継ぐ為家に戻った頃、大正から昭和の始め、先々代が建てた家族風呂は当時のお金で家一軒が建つほどの大変な金額だったそうです。銅板葺き寄せ棟、二階部気抜きの、肘木や這い付け垂木の宮大工の技を見る間でもなく、その見事な湯屋造りの妥協の無い完成系に唯々感心するばかりです。こじんまりとした総檜の湯船も先日組み直しましたが、木曽檜の感触にご主人のこだわりを感じ、湯船が溢れ出すまでは人の油が付くので入ってはダメだと教えられました。大学の初任給が何千円の頃に確か300万円ほどで鹿児島から船便で取り寄せた松の大木の半割り(さすがに1本は買えなかった)で階段を直し、玄関の欅柱も数本で相当の金額だったと聞かされました。広間の柱は山梨の楓、長野銘木屋さんが100万円で譲ってくれと言ったそうです。そんなご主人が最初に言った事が、吉田忠右衛門としてご先祖様が大沼池の灌漑に尽力された事を書いてくれと言う事でした。木の事で話が盛り上がり一度泊まっていきなさいと言われていましたがまだ実現していません。
国の有形文化財クラスの趣を持つ家族風呂、少なくとも私にとっては唯一軒です。

 つばたや旅館
2007/12/26 校正:2008/6/10 写真2003年3月28日撮影

足元湧出の長寿湯
奥蓼科温泉 渋御殿湯 

八ヶ岳山麓標高1880m、趣きある木造の浴舎に冷泉27℃と沸かし湯、そして渋長寿湯という足元湧出の湯船があります。源泉が気泡と共に底から沸く単純酸性硫黄泉の温湯(31℃)を内湯に持つ唯一軒の宿。酸ヶ湯熱の湯もこの条件にかなり近いですが、泉質が違うと言うことで...、実はこの違いはかなり大きいのだが...。
渋御殿湯
2007/12/14 写真2005年5月撮影

酸ヶ湯、木造千人風呂

日本最大の木造浴舎である事は言うまでもありません、桁外れの大きさです。その木造浴舎をおよそ10年に一度建替えて酸ヶ湯のシンボルである建造物、あるいは大工の技術を維持していると言う、伊勢神宮の式年遷宮にも似た技術伝承をしている日本で唯一軒の宿。この姿勢には敬服し旅館情報でも以前書いていますが、本当に恐れ入ります。吊り天井の建築様式は少しずつ変化しているそうです。
酸ヶ湯
写真2000年11月8日大雪の日に撮影

木造四階建て高楼
田沢温泉 ますや旅館 木造四階建てが2棟。

奥の寄せ棟の建物が藤村の間のある棟、せり上がりの見事な三階建てですから、じゃあ、その手前の明らかに頭一つ棟を上げた本館は何階なんだという話になるわけです。朝、日が差し始めた時、客室五十一(四階にあります)から見るこの本館は軍艦の艦首が悠然と迫ってくるような迫力がありました。その四階建ての骨組みに鳶様、おそらく棟梁も一緒に群がる棟上式の写真は皆誇らしげで羨ましく拝見しました。
ますや旅館
写真2007年2月撮影

渋温泉、金具屋玄関
渋温泉、金具屋 木造四階建て、その4階に客室を持つ唯一の宿。

現在の消防法では木造3階建て以上の宿の新規の建設は認められておりません、それゆえ木造3階建て以上の建築は希少な物となってきています。更に、木造4階建ての宿となりますと、私の知る限り全国で僅か2軒、渋温泉金具屋斉月楼と別所温泉柏屋別荘本館(補強改装済み)です。その木造建築の4階に客室があるのは唯一、金具屋「斉月楼」となります。4階の間から欄干越しに見る渋温泉の石畳はどんなでしょうか?(残念ながら泊まった事はありません。客室を見学させて頂いた事はあります。)文化庁指定、登録有形文化財でもあります。
2007/4/18追記:田沢のますやさんも四階に客室を持ちます。金具屋さんはその中でも善光寺を手がけた棟梁の手による建築であり垂木を二段に構え、庇を大きく張り出した寺社仏閣に見られる建築様式である事が唯一と考えます。
金具屋
写真2001年7月撮影

植木屋旅館 湯船
新潟県 兎口温泉

フォッサマグナの地下3000mに眠る温泉の化石、兎口温泉。フォッサマグナとは大きな窪みを意味するラテン語です。古い地層でできた、そのU字溝のような大きな窪みの1辺を形成するのがアルプスで、地下は6000mにもなり、高低差9000mにもなるそうです。そのU字溝の地下にはクラックが走り、マグマが噴出し焼山から八ヶ岳、富士山という火山を生み、現在の地表を成したと考えられています。その過程で地下に閉じ込められたジオプレッシャー型の温泉を掘削したのが兎口温泉、植木屋旅館の温泉の化石です。通常の温泉は水の供給と地熱+鉱物等で成り立ちますが、兎口温泉は何れ枯渇する運命にあります。3000mというと個人ではとても掘れる深さではなく、石油開発の副産物です。副産物はもう一つ有り、メタンガスのボイラー(湯船の中)で加温しています、アチッ!冬の寒さの中でこの湯の温かさには痺れます。地下3000m、ジオプレッシャー型の温泉をガスのボイラー(湯船の中)で湧かす唯一の宿では?(ちょっと苦しいかな?)お早めにご利用ください。
植木屋旅館
写真2000年冬に撮影 参考:フォッサマグナミュージアム

欅門
田沢温泉 たまりや旅館

ちょっとお聞きしますが、この厚さ一寸近くありそうな欅の一枚板の門を凌ぐ豪壮な欅門を持つ温泉宿様はありますでしょうか?ありましたら是非教えていただきたく思います。それまでは城郭並みの門を持つ唯一の宿と言う事に。この門を見ると小諸懐古園の三の門を思い出します、当初はもっと大きかったものを切り詰めたと聞いています。田沢の旧庄屋様は明治期の館も必見です。
たまりや旅館(大変残念ですが旅館の営業を止められしました。)
写真2006年5月撮影

露天風呂からお猿と雪壁
地獄谷温泉「お猿の温泉」

またまた登場、地獄谷温泉の一軒宿。この宿の露天風呂にお猿が入浴するようになった事が大変珍しく、それならと作ったのが地獄谷野猿公苑の露天風呂と聞いています。お猿の温泉のルーツであり、お猿と混浴できる露天風呂を持つ唯一の温泉宿です。

後楽館
写真2005年12月16日撮影

金谷旅館「千人風呂」
河内温泉 金谷旅館「千人風呂と女性専用の檜造りの大浴舎を持つ唯一軒の宿」

檜造りでは日本最大の木造大浴舎、混浴の千人風呂に加え、千人風呂とも言うべき規模の檜造りの大浴舎を女性専用に持つ宿。この大きさです、日帰り入浴の方にも御利用いただけます。掲載時の記事:「千人風呂の影に隠れがちですが、女性専用、木造浴槽の「万葉の湯」は女性が唯一誇れる湯ではないでしょうか?」
写真2006年4月4日撮影

ドームの露天風呂「薬師の湯」蓮華温泉
蓮華温泉「バックカントリー専門」

まだ雪深く、6月下旬の道路開通には程遠い3月15日、栂池高原、白馬乗鞍岳から滑り降り来るバックカントリー系山スキーヤーとボーダーの為、早々と冬期休業明けする唯一軒の宿。先週末、私もこの時期に初めての訪問しましたが、大変な賑わいに驚きました。写真の雪のドームがかかった露天風呂を持つ宿というのも、唯一軒と思われます。

蓮華温泉
写真2006年3月26日撮影

続く

山の温泉ガイド TOP
COPYRIGHT(C) MOUNTAIN TRAD Inc.,All rights reserved.
すべてのコンテンツの引用及び転載は固くお断りします。